返してくれる相手がいたら
温かいだろ?
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忘れられないこと。
数日前のライブ会場で、終演後物販コーナーへ出て、いつものようにお勘定したり握手したりサインしたりしていた。
すると、若く見えるがぼくよりも歳上であろう女性が話かけてきた。
「息子が曽我部さんのことを大好きで、でも2月に亡くなってしまったのです。
今日はどうもありがとうございました。楽しかったです」と。
ぼくはそのとき何も言うことができなかった。
そしてその瞬間は、あっという間に過ぎ去ってしまった。
その女性はずっと最前列のぼくの前で楽しそうにしていた方だった。
ロックンロールのライブという表現をやっていると、ミュージシャンは多くの人に同じエネルギーをいっぺんにぶつけることをメインにとらえ始める。
そしてそれがいかにポジティブで大きなエネルギーか、そのことがなんとなく重要になってくる。
これこそがロックンロールの、音楽のパワーだ。それも間違ってはいないと思う。
しかし、個人と向き合うような細やかなコミュニケーションからはだんだん離れてしまっていないだろうか。
その夜から、そんなようなことがとても気になっている。
今日は終演後物販コーナーで、小学校4年生の女の子から手紙をもらった。
楽屋で開けてみると、「そかべさんの曲がだいすきです」という書き出しで始まる手紙で、可愛い文字で鉛筆で便箋いっぱいに一生懸命書いてあった。
少女のお父さんからの手紙も入っていて、そちらはペンでぼくの音楽に対する想いを丁寧にしたためてくれていた。
演者が終演後すぐに物販に立つことに、疑問を持ち自問自答してしまうことが時折
ある。
体力的なことは、何の問題もないのだが、ただの商売人に見えたりしないだろうか?そもそも、カッコ良く思われないんじゃないか?とか。
でも、ここに書いた夜みたいなことがあるから、ずっと、できるかぎり、物販に立って、みんなと言葉を交わしたいと思う。
そうすることに決めた。
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